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つらつらと小説でも書いていこうかと。
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「それでなあ、もう姫さんはごっつう綺麗でなあ。
 あの金髪! サファイアの瞳! 一ヶ月ぶりでも、相変わらずの輝き!
 思わず見とれて立ちつくしてもたわ~」
「その後にあの激烈回し蹴りが飛んでもかい? とんだ姫様馬鹿だね君は」
 いつも通りの親友の言動に、慣れきった態度でルーウェン=シェランは返す。
「姫さん馬鹿……ええ褒め言葉や……」
 決して、褒め言葉ではない。
 だがそう言ってもこの男は全く意に介さないだろう、とルーウェンは思う。
 ルーウェンと向かい合って茶菓子を味わいつつ、そんな言動を遠慮せずにぶちかましているのは、ルーディッハ=ブラック。ルーウェンの十年来の親友だ。

 代々王族の護衛を務めてきた家の、次期当主候補という立場にあり、現在19歳。
 亜麻色の髪、琥珀の瞳、精悍な体と、掘りの若干深いが綺麗な顔立ち。
 その上、なんだか人の目を引く雰囲気を持っており、十九歳ながら色気抜群、並々ならぬもて方をしている。
 更に、一度読んだ書物は完璧に暗記し、その他理系の学問にも秀でているという、一般人から見れば人生をなめきった野郎である。
 そして今日、旅から帰ってきて姫に強烈な回し蹴りをくらった後にもへらへらとルーウェンの自室で高級茶を遠慮なくがぶ飲みするような、大層図太い奴でもあった。

「……自分が教え込んだクセに。どうして蹴りをくらう羽目になるのかね」
茶を飲み干してルーウェンは問う。
「いやー、俺一ヶ月も姫さんの傍に居らんかったからなあ。
 まあ……当然やないの?」
 にかっ、と変にさわやかに笑うルーディッハの一言を聞き、ルーウェンはため息をついた。
「だからね。
 それが分からないって言ってるのだよ」
「うん」
 ルーディッハが平然とした顔で茶を飲み干す。
 見ていて釈然としないその様子に、ルーウェンはいらつき、音を立ててカップを置いた。
 陶器のぶつかる高い音。
「だから、分からないと言っているだろう?
 どうして君は『一ヶ月も姫様の傍にいなかった』んだ。
 明日で君は、世話役を辞めねばならないのに……!」
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