つらつらと小説でも書いていこうかと。
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ファイルードの第一王女・エリーナレベッカ、通称エリーナの回し蹴りは、鋭さ・速度・衝撃・放つ前の予備動作が分からない、の四拍子が揃った、相当キツイものである。
片方は青、片方は茶の瞳を凛と細めて相手をにらみつけ、胸まであるくすんだ色の金髪を華麗に宙に舞わせ、綺麗にバランスの取れた体をしならせ、彼女はそれを放つ。
その姿は華麗で、見ている分には『ああ、見事だ』程度で済むのだが、くらう方は本気でたまったものではない。かわす事ができなければ、それを仕込んだものと容赦のない王女を恨みつつ、諦めるしかない。
だが、しかし。
エリーナに回し蹴りを仕込んだ張本人のルーディッハ=ブラックは、今まさにそれを受けていた。
ぎしり、と体がイヤな音を立てる。一応ルーディッハは攻撃に合わせて飛びすさりはしたのだが、それも少ししか意味はなかった。
体の中に、たとえようのない衝撃が響く。
そして、声にならない声を上げ、地面に膝をついてしまう。
「ひっ、姫さん……」
喘ぎながらも彼女を呼ぶが、
「この馬鹿者が」
青い瞳が細められ、冷たく一言を投げかけられるだけ。
そのまま『姫さん』ことエリーナは踵を返し、凛とした風格を漂わせ、淀みも躊躇いもない歩みできりりと去ってゆく。
「……っ」
ルーディッハには、その理由は分かった。とてもよく分かるのだ。
昔から、ずっと一緒にいるのだから。
そしてルーディッハが蹴られる理由は、彼らの間柄に置いて、非常に当然である事だった。
だがしかし、それで良いと言えばいいのだが、やはり回し蹴りはキツイ。
周りが心配そうに覗き込むが、まだエリーナが去っていないので近づけないようだ。
それにしても、とルーディッハは思う。
(姫さん綺麗やったなあ……)
あのくすんだ金髪。真珠の肌。サファイアの瞳。
綺麗だった。とても綺麗だった。たとえ一ヶ月ぶりに会っていきなりの回し蹴りでも、それを放ったのはエリーナだ。回し蹴りの為であっても、ルーディッハに会いに城の門まで来てくれた。
ああ、会えてめっちゃ嬉しい。
ルーディッハは心の中で歓喜に震えながら、ふっつりと気を失った。
片方は青、片方は茶の瞳を凛と細めて相手をにらみつけ、胸まであるくすんだ色の金髪を華麗に宙に舞わせ、綺麗にバランスの取れた体をしならせ、彼女はそれを放つ。
その姿は華麗で、見ている分には『ああ、見事だ』程度で済むのだが、くらう方は本気でたまったものではない。かわす事ができなければ、それを仕込んだものと容赦のない王女を恨みつつ、諦めるしかない。
だが、しかし。
エリーナに回し蹴りを仕込んだ張本人のルーディッハ=ブラックは、今まさにそれを受けていた。
ぎしり、と体がイヤな音を立てる。一応ルーディッハは攻撃に合わせて飛びすさりはしたのだが、それも少ししか意味はなかった。
体の中に、たとえようのない衝撃が響く。
そして、声にならない声を上げ、地面に膝をついてしまう。
「ひっ、姫さん……」
喘ぎながらも彼女を呼ぶが、
「この馬鹿者が」
青い瞳が細められ、冷たく一言を投げかけられるだけ。
そのまま『姫さん』ことエリーナは踵を返し、凛とした風格を漂わせ、淀みも躊躇いもない歩みできりりと去ってゆく。
「……っ」
ルーディッハには、その理由は分かった。とてもよく分かるのだ。
昔から、ずっと一緒にいるのだから。
そしてルーディッハが蹴られる理由は、彼らの間柄に置いて、非常に当然である事だった。
だがしかし、それで良いと言えばいいのだが、やはり回し蹴りはキツイ。
周りが心配そうに覗き込むが、まだエリーナが去っていないので近づけないようだ。
それにしても、とルーディッハは思う。
(姫さん綺麗やったなあ……)
あのくすんだ金髪。真珠の肌。サファイアの瞳。
綺麗だった。とても綺麗だった。たとえ一ヶ月ぶりに会っていきなりの回し蹴りでも、それを放ったのはエリーナだ。回し蹴りの為であっても、ルーディッハに会いに城の門まで来てくれた。
ああ、会えてめっちゃ嬉しい。
ルーディッハは心の中で歓喜に震えながら、ふっつりと気を失った。
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